研究概要 |
1.金属粉末を空気の高圧力下でコーテングするための直径300mm,高さ340mm、厚さ20mmから成るアクリル製高圧容器を製作した。 2.HIVIPP(High energy Vlbratinal Powder Plating)法を用いて粒径約30ミクロンのCrとSiの両粉末を用いて、石英ガラスリングを挟む密閉平行電極基板コーテング容器を高圧容器に入れて、本研究課題の次のような各種実験をおこなった。パッキング膜は厚さ0.2mmの銅板を用いた。2-1)窒素、酸素、空気の各ガスに於ける最大印可電圧(放電開始電圧)を測定した。結果は窒素は22kV、酸素は24kV、空気は26kVを示した。2-2)印可電圧(22kV)一定で1気圧から9気圧に於ける各ガスの気圧毎に於ける毎時間あたりのゴーテング厚さ(μg/cm^2/h)を調べた結果、わずか1.5気圧の圧力で96μg/cm^2/hの最大膜厚を示した。1.5気圧は実験作業中、特に危険を伴わない圧力なので安全に操作ができること、1気圧では12kVが最大印可電圧であるが1.5気圧では約2倍のが25kVが印可できることなど重要なデータが得られた。2-3)空気3気圧における印可電圧0から25KVまでの各印可電圧毎に於けるコーテング厚さ(μg/cm^2/h)を調べた。結果はコーテング厚さは真空と同様に強い電圧依存性を示した。2-3)真空中ではメタルカラーを示すが、空気中ではコーテング膜のカラーが膜厚によって著しく変化することを見出した。即ち、Crは青色にSiは黒色に変色した。この変化を調べるために加速器の陽子ビームを用いて変色したCrとSiターゲットをPIXE法を用いて元素分析を行った。まとめとして高圧ガスを用いた本コーテング方法は真空ポンプ無しでも真空下と同様に室温プロセスで高密着性、高一様性、かつ数ワットの小電力で極めて簡便な方法であることが分かった。
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