研究課題
基盤研究(B)
本研究は電子状態を取り入れた新しいソフトモードの概念の構築を視野に入れ、光散乱法を用いて強誘電的長距離秩序形成をもたらす極性不安定フォノンモードと、電子励起を伴った光誘起状態の間の結合に注目し、バイブロニック相互作用の視点から強誘電体の光誘起協力現象における動的な機構の解明を目的とし以下の研究成果を得た。(1)強誘電体ではソフトモードと結合した光誘起協力現象のダイナミクスが、下は1Hz以下からTHz領域にあると予想される。そこで高分解能レーザ分光技術と広帯域誘電分光技術を用い1μHz-10THzの22桁におよぶ超広帯域で、かつ温度領域2Kから1900Kで高安定性を実現し、これまで例のない光誘起相転移ダイナミクス測定システムを確立した。(2)同位体効果で量子常誘電体の光誘起効果が消失する量子強誘電体で相転移ダイナミクスを明らかにした。量子強誘電体の相転移は強誘電性モードが完全凍結する典型的な変移型強誘電性相転移であることを明らかにした。この結果は量子常誘電体の光誘起効果が光誘起状態と極性不安定化モードとの間の結合によって出現する光誘起バイブロニックソフトモードを伴った新しい現象であることを示唆する。(3)新しい光誘起量子協力現象の発現が期待されるBi層状ペロフスカイトで光誘起状態の存在を示唆する新しいセントラルピークと、紫外光照射による強誘電性ソフトモードの不安定化を観測することに成功した。今後体系的な研究で新しいクラスの光誘起量子協力現象の発見が期待される。本研究はレーザ分光法で高分解能と高安定性を確立し光誘起状態の動的構造を光散乱スペクトルで示した初めての例である。本研究成果は電子状態を含む新しいソフトモードの概念の構築に方向を示し、さらにその外場制御が、光誘起量子協力現象とも呼べる新しいパラダイムを切り開くことを示しており、今後の展開が期待される。
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