研究課題/領域番号 |
17340093
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
野村 晋太郎 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 助教授 (90271527)
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研究分担者 |
大塚 洋一 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 教授 (50126009)
山本 貴一 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 助手 (20342868)
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キーワード | ナノ構造 / 近接場 / 極低温 / 強磁場 / 量子ドット |
研究概要 |
本研究の目的は電子密度分布、スピン密度分布の測定から、規則構造を有する配列ナノ構造特有の物性を明らかにすることである。そのために本年度は、mK領域での円偏光分光測定に最適化した広い試料空間をもつ3He冷凍機の運転を開始し、計画された300mKに到達した。あわせて近接場光学顕微鏡の運転を開始し、初期的な画像の取得を行った。主な成果は以下の通り。 (1)外部制御可能な半導体配列ナノ構造試料を電子線リソグラフィー法により作製し、電子系の結合の大きさを制御してその電子状態を極低温中発光スペクトルから観測した。 (2)低温強磁場中局所光励起を用いて二次元電子系の端状態のイメージングを行うことに成功した。実験結果は光励起された電子が量子ホール系のバルク状態を介して端状態に流れ込み、光電流としての寄与がホール電圧の増加として観測されることにより理解される。このイメージング手法を利用して、電極近傍でポテンシャル勾配が大きい部分のイメージングにも成功した。光弾性変調器を用いた、円偏光励起により右回り光と左回り光でのイメージの取得を行い、円偏光度のイメージングを得た。これは、電子スピンの偏極度と対応するものと考えられる。 (3)InAs量子チューブの磁場中顕微分光測定を行い、発光ピークが1Tの周期で振動することを見いだした。この結果は、荷電励起子のアハロノフボーム効果であることをモデル計算により示した。量子チューブ中の電子系は二次元電子系であるため、量子リング中の一次元電子系よりも電子-正孔間束縛エネルギーが小さく、観測されるアハロノフボーム振動が大きくなることを示した。 (4)電子密度を外部制御可能な試料を用いて極低温下磁場中発光測定を行い、電子密度の低下に伴い、電子、正孔の有効質量が増大することを見いだした。
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