研究課題
基盤研究(B)
有機電界効果トランジスターは、軽量柔軟で環境にやさしい有機エレクトロニクスの基幹素子として注目を集めている。本研究では、実際の素子中で機能を担う電界誘起キャリアの電子スピン共鳴(ESR)による直接観察を進めた。1.高分子材料高分子の中で最も移動度の高い立体規則性ポリアルキルチオフェン(0.1cm^2/Vs)の金属-絶縁体-半導体(MIS)デバイス構造のESRを観測し、高電界で注入スピン濃度が頭打ちになり、ポーラロンからスピンを持たないバイポーラロンへの変化を見出した。g値、線幅の角度依存性から、高分子鎖が基板に対して立つ配向を見出し、理論的なポーラロン波動導関数によるESRスペクトル計算により、配高度を定量的に評価した。さらに、フラーレンとの複合体において、高分子上の正ポーラロンとフラーレンラジカルアニオンの両極性キャリアのESR観測に成功した。2.低分子材料ペンタセン薄膜は、高いキャリア移動度(1cm^2/Vs)をもつ有機低分子材料として注目される。東北大の岩佐グループと共同により、ペンタセン電界効果トランジスター中の電場誘起キャリアのESR観測に初めて成功した。ESR信号の線幅から注入キャリアの空間広がりが10分子程度であることを示し、伝導機構がバンド型であることをミクロに解明した。また、g値、線幅の角度依存性から、デバイス界面では分子の長軸が基板に対して立つ配向を持つことを示した。さらに、ペンタセンでは立体規則性ポリアルキルチオフェンと異なり高い印加電圧までスピン注入量は電荷注入量と一致し、分子構造の違いを反映した注入キャリア特性が示された。次に、大阪大の竹谷グループ、東北大の岩佐グループとの共同により、高キャリア移動度を示す低分子ルブレン単結晶の電場誘起キャリアのESR観測にも成功し、ルブレンの高い移動度を反映したESR線幅の尖鋭化を見出した。
すべて 2008 2007 2006 2005 その他
すべて 雑誌論文 (43件) (うち査読あり 22件) 学会発表 (40件) 図書 (2件) 備考 (1件)
Thin Solis Films 516
ページ: 2743-2746
Chem. Eur. J. 14
ページ: 472-477
Thin Solid Films 516
Jpn. J. Appl. Phys 46
ページ: L1191-L1193
日本物理学会誌 62
ページ: 851-855
ページ: L792-L795
ページ: 5187-5192
応用物理 129
ページ: 795-798
J. Am. Chem. Soc. 129
ページ: 8510-8518
Chem. Phys. Lett. 435
ページ: 273-277
BUTSURI 62(11)
Jpn. J. AppL Phys 46
OYO BUTURI 76
J. Am. Chem. Soc 129
Chem. Phys. Lett 435
Physical Review Letters 97
ページ: 256603(1-4)
Phys. Rev. B 73
ページ: 245102(1-12)
Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects 284-285
ページ: 97-102
ページ: 589-593.
ページ: 613-616
ページ: 617-622
Phys. Rev. Left 97
ページ: 256603 (1-4)
Phys. Rev 73
ページ: 245102
Colloids and Surfaces 284-285
ページ: 589-593
J. Phys. Soc. Jpn. 74
ページ: 3066-3076
ページ: 3314-3319
ページ: 3334-3339
Synthetic Metals 154
ページ: 45-48
Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects 257-258
ページ: 37-40
ページ: 85-88
電子スピンサイエンス学会誌 3
ページ: 25-31
J. Phys. Soc. Jpn 74
Colloids and Surfaces 257-258
Electron Spin Science and Technology 3
http://www.nuap.nagoya-u.ac.jp/~kurodalab/ESRdevice/ESRdevice-index.htm