研究課題/領域番号 |
17340095
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
赤井 久純 大阪大学, 理学研究科, 教授 (70124873)
|
研究分担者 |
小倉 昌子 大阪大学, 理学研究科, 助手 (30397640)
|
キーワード | 計算物理 / 計算機マテリアルデザイン / 希薄反強磁性半導体 / フルポテンシャルKKR法 / スピントロニクス / 希薄磁性半導体 / ハーフメタル / 巨大磁気抵抗 |
研究概要 |
スピントロニクス材料としてハーフメタルが注目をあびているが、反強磁性半導体でハーフメタルが可能であることを指摘し、そのような物質としてII-V族化合物半導体、III-V族化合物半導体、TiO_2、カルコパイライト型I-III-VI_2、II-IV-V_2化合物半導体等をCr-Fe、V-Coなどの2種類の組み合わせからなる磁性イオンでドープした系について、これらが実際にハーフメタリック反強磁性体になっていることを第一原理計算によって示した。さらに、リヒテンシュタインの方法を用いて決めた磁気相互作用定数と真野によるクラスター近似の拡張を用いて磁気的転移温度を計算した。クラスター近似は濃度ゆらぎが大きい希薄極限でも高精度に磁気転移温度を計算することのできる手法であり、同一の系に対するモンテカルロ法による転移温度の計算結果とも良い一致を示す。計算の結果ハーフメタリック希薄反強磁性半導体のいくつかは室温を超える磁気的転移温度を示すことが明らかになった。特に、これまであまり計算対象とされてこなかったCdS、CdSe、CdTeをV-CoやCr-Feの組み合わせの2種類の磁性イオンでドープした系は比較的高い転移温度を示し、デバイス材料として有望であることが結論された。Cdを含むことから規制対象になる可能性があるが、実用化の方向を探ることが必要である。 ハーフメタリック希薄反強磁性半導体のDC電気伝導を久保グリーンウッド公式に基づいて線形応答の範囲で計算した。ハーフメタルであることを反映して、半導体スピンバンドのDC伝導はゼロ、金属スピンバンドの伝導は不純物散乱によって決まる、有限の金属伝導を示す。さらに興味深いのは金属スピンバンドが上向きスピンの領域とそれが下向きスピンになっている2種類のドメインの接合を持つ系の電気伝導である。計算によると、ドメイン境界を含む超構造と含まない超構造で大きく電気伝導が異なることがわかった。
|