研究課題/領域番号 |
17340097
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性Ⅰ
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
田中 智 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (80236588)
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研究分担者 |
萱沼 洋輔 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (80124569)
魚住 孝幸 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (80295724)
原田 慈久 理化学研究所, 量子電子材料研究チーム, 連携研究員 (70333317)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | 軟X線共鳴X線発光 / 緩和過程 / 非断熱遷移 / 超高速過程 |
研究概要 |
本研究では、内殻励起により誘起される原子移動緩和現象の全貌理解のために3つの研究計画を立てて理論および実験研究を遂行した。3つのテーマは、1)軽元素物質における内殻励起状態での原子移動ダイナミックス、2)オージェ終状態からの原子移動ダイナミックス、3)内殻励起を利用した物質制御法の実験的探索、である。それぞれについて以下のような成果を得た。 1)原田らが行った、グラファイトの共鳴X線発光スペクトルの偏光相関測定の実験について、励起電子が連続バンド中を遍歴する効果を取り入れた電子格子相互作用系の問題を数値的に厳密に解き、従来のバイブロニッククラスターモデルでは説明できなかったX線吸収スペクトルの構造や、発光スペクトルの励起エネルギー依存性などの実験結果を良く再現することに成功した。さらに、高エネルギーX線による光電子効果における反跳効果を理論的に指摘し、実験研究者との共同でこの効果を確認した。 2)オージェ終状態からの原子移動ダイナミクスを精密に議論するためには、オージェ崩壊後の多電子状態ができる限り精密に知る必要がある。魚住は、そのために、一不純物アンダーソンモデルを拡張し、多重項相互作用および配置間相互作用を考慮した二不純物アンダーソンモデルに基づく理論モデルを構築し、遷移金属酸化物の内殻励起スペクトルの理論解析を行い、実験結果の再現に成功した。 3)原田は、水の0 1s、DNA塩基、ヌクレオチドダイマーのN 1s共鳴X線発光スペクトルの実験測定を行い、系元素物質が主役を演じる生体関連分子の電子状態および内殻励起による原子移動現象の観測に成功した。 さらに、本研究からの発展として、準位交差系における非断熱遷移確率に対する厳密解の発見、量子ビット操作および絡み合い状.生成の理論、1次元電子格子系における非平衡緩和過程の理論研究において成果を上げた。
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