研究課題/領域番号 |
17340098
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
小林 寿夫 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 助教授 (40250675)
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研究分担者 |
大石 泰生 (財)高輝度光科学センター, 主幹研究員 (20344400)
落合 明 東北大学, 極低温科学センター, 助教授 (90183772)
坂井 信彦 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 教授 (60013497)
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キーワード | 格子振動 / 高圧力 / 局在-非局在転移 / 核共鳴散乱 |
研究概要 |
混合原子価化合物Eu_4As_3は、常圧力下343Kで立方晶から三方晶への構造変態をともない価数揺動状態から電荷秩序状態へと転移する。すなわちこの電荷秩序移転は1次の相転移である。同様の電荷秩序転移を起こす混合原子価化合物Yb_4As_3、Sm_4Bi_3では加圧により電荷秩序温度が低下することが、高圧力下X線回折、電気伝導測定の結果から分かっている。しかし、Eu_4As_3については高圧力下での物性測定がまったく行われていない。そこでEu_4As_3高圧力下X線回折測定を行い、結晶構造転移(電荷秩序)温度の圧力依存性を求めた。その結果、Yb_4As_3、Sm_4Bi_3の場合とは異なり、この転移温度は加圧により上昇することが分かった。すなわちEu_4As_3において圧力は三方晶結晶構造(電荷秩序状態)を安定化すると考えられる。この電荷秩序温度の圧力依存性と常圧力下・電荷秩序での体積変化を用いて、1次相転移でのClausius-Clapeyronの関係式から電荷秩序相転移のでのエントロピー変化を見積もった。その結果、電荷秩序での全エントロピー変化は40.6J/mol Kと求まり、単純に価数揺動に関与していた4f電子が局在化する場合に予想されるエントロピー変化(18.7J/mol K)の約2倍であることが分かった。 この高圧力下X線回折測定結果を用いて見積もった全エントロピー変化には、結晶構造変体にともなう格子振動変化によるエントロピー変化も含まれている。そこで我々はさらに、放射光単色X線を用いた^<151>Eu核共鳴非弾性散乱(NRIS)を測定し、Eu_4As_3の部分(Eu)フォノン状態密度の温度依存性を実験的に求めた。その部分フォノン状態密度の温度依存性から構造変体にともなう格子振動が関与するエントロピー変化を見積もった。その見積もったエントロピー変化は13.4J/mol Kである。従って、電荷秩序転移での電子からの寄与のみのエントロピー変化が27.2J/mol Kと見積もられ、電荷秩序転移での電子構造変化が無視できないことを実験的に示した。
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