研究課題/領域番号 |
17340098
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性Ⅰ
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
小林 寿夫 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 教授 (40250675)
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研究分担者 |
大石 泰生 (財)高輝度光科学センター, 主幹研究員 (20344400)
落合 明 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (90183772)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | 格子振動 / 高圧力 / 局在-非局在転移 / 核共鳴散乱 |
研究概要 |
Eu_4As_3の高温・高圧力下X線回折測定の結果、電荷秩序温度は加圧にともなって線形的に上昇することが分った。電荷秩序温度の圧力依存性と転移温度での体積変化から電荷秩序にともなうエントロピー変化は41J/molKと見積もられた。この変化には格子振動の変化による成分も含まれるため、高温^<151>Eu核共鳴非弾性散乱測定を行い、格子振動の変化によるエントロピー増加量を実験的に求めた。その結果、電荷秩序温度での電子状態の変化によるエントロピーの増加は27.2J/mol Kと見積もられ、configurationエントロピー(18.7J/mol K)よりも大きいとが分った。すなわち、Eu_4As_3の電荷秩序転移は単純な価数揺動状態からのそれでは説明できないことが分った。高温^<151>Eu核共鳴前方散乱測定からは、立方晶相のEuイオンの価数は、電荷秩序相から予想される平均価数よりも3価に近い状態であると考えられる結果を得ている。 室温・高圧力下X線回折測定の詳細な解析結果から、三方晶構造の2種類のEuサイトの局所体積比V_<oct>(6b)/V_<oct>(2a)が、常圧の1.22から10GPa以上で1になることが分った。この結果は、結晶変態・体積変化を伴わず10GPa付近で電荷秩序が消失していくことを意味している。一方、室温・高圧力下^<151>Eu核共鳴前方散乱測定の結果、10GPa以上でも量子ビートが観測された。しかし、前方散乱時間スペクトルには緩和による干渉性の低下が原因と考えられる、スペクトル強度の早い減衰が観測されている。すなわち、高圧力相でのEu^<2+>イオンとEu^<3+>イオン間の緩和時問は、^<151>Eu原子核の励起状態の寿命と同程度であると考えられる。この緩和時間は、通常の熱的価数揺動状態のそれと比べて長い。高圧力相長い緩和時間には、格子振動が関与している可能性がある。そこで、極最近室温・高圧力下^<151>Eu核共鳴弾性散乱の測定を行い、SN比の良い核共鳴非弾性散乱スペクトルを得ることに成功した。
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