研究課題
スピンナノチューブの中でも最も簡単な系である3本足スピンチューブを出発点として、この系の理論的研究から取り掛かった。まず口径が正三角形の場合について、この系のスピン励起のギャップ(スピンギャップ)に起因した量子相転移の性質を、有限サイズの系に対する行列の数値的厳密対角化と密度行列繰り込み郡により数値的に計算し、有限サイズスケーリングを適用して解析した。その結果、従来から予想されていたように、桁方向の反強磁性的相互作用が少しでもあるとスピンギャップが開くこと、また桁方向の相互作用が強磁性的である場合にはギャップレスであることが判明した。また、口径が正三角形から二等辺三角形になるような歪みが加わった場合の、この系の応答を同様の方法で解析した結果、正三角形からのずれに対して非常に急激にスピンギャップが消失する量子相転移が起き得ることが示された。ただし、この量子相転移のユニバーサリティクラスや正確な臨界点などは、まだ明確になっていないため、今後は共型場理論に基づく有限サイズスケーリングや最近開発されたレベルスペクトロスコピー法などを適用して、詳細な性質の解明を進めたい。本年は初年度のため、密度行列繰り込み郡による数値計算に使用するワークステーションを新潟大に、また解析計算やプレゼンテーションに使用するノートパソコンを東京工業大学に購入した。また、これまでに合成されているスピンナノチューブについての情報収集と、今後の研究の進め方を討論するために、9月に東北大学金属材料研究所において、関係者を集めて研究会を行った。また、海外のスピンナノチューブ研究グループと情報交換をするため、坂井がラウエ・ランジュヴァン研究所・スイス連邦工科大などを訪問して研究打ち合わせを行った。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (28件) (うち査読あり 11件)
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