研究課題/領域番号 |
17340100
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
坂井 徹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (60235116)
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研究分担者 |
奥西 巧一 新潟大学, 自然科学系, 助教 (30332646)
岡本 清美 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (40152342)
野村 拓司 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 研究職 (90373240)
佐藤 正寛 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 博士研究員 (90425570)
利根川 孝 福井工業大学, 工学部, 教授 (80028167)
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キーワード | スピンナノチューブ / スピンギャップ / 量子相転移 / 低次元系 / ナノ磁性体 |
研究概要 |
N本の反強磁性量子スピン鎖を鎖間方向にも反強磁性交換相互作用で結合した系をスピンラダーと呼ぶが、これをさらに鎖間方向に周期的につないだ系をスピンチューブと呼ぶ。そのうち最も量子効果とフラストレーションの強い3本鎖スピンチューブに焦点を絞り、とくに磁化過程に現れる新しい現像を理論的に研究した。 まず飽和磁化付近における摂動論よる解析的な研究により、従来予測されていたギャップレスの朝永・ラッティンジャー液体相の中に、新しいカイラル秩序相、及び不均一磁化秩序相が現れる場合があることが示された。いずれの相も、従来の2成分朝永・ラッティンジャー液体相のうちの1成分が存続しているため、長距離秩序が存在すると同時にギャップレスの励起スペクトルを伴うもので、まだ発見されていない新しい磁場誘起秩序相である。 また、有限クラスターの数値的厳密対角化と有限サイズスケーリングによる理論解析により、チューブ断面の三角形上の交換相互作用が、鎖方向の相互作用に比べて十分大きい場合には、飽和磁化の3分の1のところに磁場誘起スピンギャップによる磁化プラトーが出現することが示された。これまでに合成されている現実のスピンナノチューブでは、まだこの磁化プラトーは観測されていないが、この物質に対する水素の重水素化や圧力印加により、相互作用比を変える試みが進められており、将来磁化プラトーが発現される可能性は十分にある。
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