研究課題
近年我々が開発した測定技術multiple-small-tunnel-junction(MSTJ)法やそれに関連する技術を使って、サイズが超伝導コヒーレンス長程度のメゾスコピック超伝導体の超伝導状態に関する測定と理論解析を行い、以下の知見を得た。1.穴が中心からずれている非対称リングについて10年来理論的に予測されている「1次元渦糸状態(単連結超伝導状態)」を検証するために昨年行ったMSTJ測定の結果について、ギンツブルグ-ランダウ理論に基づいた数値シミュレーションを行い、定量的によい一致を得た。これより、実際上「1次元渦糸」と呼ぶにふさわしい新しい渦糸状態が実現していることを立証した。2.1次元渦糸状態の安定性を議論するために、非対称の度合いの異なるリングを作製し、磁場応答を比較した。その結果、非対称性が増すほど、1次元渦糸状態が安定化するという結果を得た。3.極微小超伝導リングで予言されている「磁場に依存する超伝導ゆらぎ」を立証するために以前行った実験の結果の更なる解析と、ハートリーフォック近似に基づいた数倍シミュレーションを行った。その結果、実験と理論で定量的に極めてよい一致を得た。4.超伝導ディスクにおいてその存在が予言されていながら、未だ実験的には観測されていない「渦糸・反渦糸対」を観測するために、4つの微細孔の空いた正方形超伝導体の渦糸状態を、孔のない正方形超伝導体の渦糸状態と比較した。その結果、孔の配置に対応した渦糸状態の安定化が観測されたが、「渦糸・反渦糸対」の存在を示唆するデータは得られなかった。今後、試料のパラメータを調整して再度測定する予定である。
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