研究課題
基盤研究(B)
サイズが超伝導コヒーレンス長や磁場侵入深さと同程度のメゾスコピック超伝導体では、磁場に対する応答がバルクとは大きく異なり、新しい渦糸状態が出現することが理論的に予測されてきた。その顕著なものが巨大渦糸状態(GVS)・多重渦糸状態(MVS)である。バルクでは個々の渦糸がアブリコゾフ三角格子を組むのに対し、メゾスコピック薄膜では、渦糸が試料形状の相似形に配置したり、複数の渦糸が結合して巨大渦糸を形成したりする。我々は、2004年に、独自の実験方法(Multiple-small-tunnel-junction(MSTJ)法)を使って、これらの新規渦糸の存在を初めて証明したのに引き続き、本研究において、以下に代表される多くの成果を挙げた。(1)渦糸排出磁場の温度依存性を用いて、試料形状に依存しない普遍的なGVS、MVSの識別方法を見出した。(2)新規渦糸の性質(渦糸状態の試料形状・温度依存性、渦糸状態の安定性と試料形状の関連、欠陥の影響)を明らかにした。(3)メゾスコピックリングで20年来予言されてきた「1次元渦糸」の存在を実証し、リング形状における対称性の破れ1次元渦糸の安定化に重要であることを示した。(4)メゾスコピックリングについて理論で予言されている磁束依存超伝導揺らぎをはじめて観測した。(5)理論的に予測されている反渦糸状態を検証するための実験を行い、反渦糸が存在するためのパラメータ範囲を決めた。(6)2x2の微細孔のある超伝導体において、渦糸配置を決める実験的方法を確立した。(7)渦糸状態をコントロールするための方法を明らかにした。本研究では、理論グループ(秋田大、アントワープ大)との密接な連携を行うことにより、複雑な実験結果の背景にある基礎物理現象を明らかにすることができた。これらめ成果は、ナノスケールに閉じ込められた量子系の物理の理解を深めただけでなく、将来のデバイス応用(ナノ超伝導工学、外部パラメタによる渦糸状態のコントロール)につながるものである。
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