研究概要 |
(0)マイクロ波ブロードバンド法を用いて高温超伝導体の超伝導ゆらぎの詳細な測定を行った。 (1)ホールドープ系LSCO :過剰ドープ試料(0.18【less than or equal】x)での揺らぎの性質を明らかにするために磁場効果を調べた。動的スケーリング解析の結果は2次元的な超伝導揺らぎを示唆するが,磁場効果の測定から得られた臨界指数の値はよく知られているいずれのモデルのそれとも一致しない。過剰ドープ試料に関しては,一般に指摘されているような試料の乱れの可能性が指摘されているが,理論的にもXYモデルに種々の拡張を行うと,多種多様な臨界的振舞いが得られる。今後の理論的発展に期待したい。 (2)電子ドープ超伝導体LCCO :最適ドープよりやや不足ドープ側の試料で測定を行った結果,超伝導揺らぎは3次元XY的であることが判明した。このことから,3次元XY的振舞いは最適ドープ物質に対して非常に普遍的であることが示唆される。 (3)電子相図に関してわかったこと:超伝導揺らぎはキャリア濃度に強く依存して変化しており,電子相図に関しては,転移温度や擬ギャップの振舞いだけでなく超伝導揺らぎの振舞いも理論的に説明される必要がある。 (4)時間領域分光法によるテラヘルツ複素電気伝導度測定システムを構築した(室温)。クライオスタットがメーカーの都合で予定より遅く年度末に納入されたばかりであるので,現在寒剤中での複素伝導度測定システムを構築中である。
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