研究概要 |
本年度では,本研究の目的に従って巨大光学電気磁気効果と巨大電気磁気効果の開拓を行い,それぞれについて以下の主な成果があった。 1.巨大光学電気磁気効果強誘電体La_2Ti_2O_7に磁性元素Er,Eu等を置換工し外部磁場を印加することで時間空間反転対称性を同時に破ることができる。Eu,Erイオンの4f軌道に関連した発光スペクトルからゴ室温でも光学電気磁気効果を観測することが出来た。また,Nd_2Ti_20_7においてはNd^<3+>イオンのf-f双極子遷移に伴う吸収スペクトルでは,光学電気磁気効果によるスペクトル強度を半定量的に評価することができた。さらに,LaMnO_3/SrMnO_3/LaAlO_3による人工超格子で回折格子を作製することによってLaMnO_3/SrMnO_3の磁性界面に由来する光学電気磁気効果を観測,増強することにも成功した。 2.巨大電気磁気効果TbMnO_3などのスピン流起源によるマルチフェロイック物質では希土類イオンの磁性を無視できないため,Mnスピン本来の寄与を調べるために希土類磁性のない(Eu_<1-x>Y_x)MnO3系において電気磁気効果を詳細に調査した結果,Y置換によってMnスピンの寄与だけでも強誘電転移を起こすことが分かり,また温度だけでなく磁揚による分極フロップも発見できた。このようなスピン流モデルによる電気磁気効果の考えを踏まえると,通常は電気分極が発現しないプロパー磁気構造をとる物質においてでさえ印加磁場の向きによってはコニカルスピン構造への変化とともに電気分極が発生すると考えられる。そこで六方晶フェライトにおいて印加磁場の向きをかえることで,1T以下の低磁場でも分極を制御することにも成功した。
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