研究課題
平成17年度の研究計画に従い、酸化物の超薄膜およびナノ構造への電界効果ドーピング技術の開発研究をおこなった。今年度の予定は、酸化物電界効果トランジスタ(FET)の作製プロセス開発とその熟成であった。SrTiO_3をチャネル、CaHfO_3をゲート絶縁膜に用いたエピタキシャル電界効果トランジスタの作製に成功した。これらのデバイスは低温において期待されたキャリア移動度の増大が観測され、50Kで35cm^2/Vsにも達した。すなわち、ノンドープのSrTiO_3において純粋な電界効果のみによって絶縁体から金属への相転移が可能なことを実証した。さらに、DyScO_3をゲート絶縁膜に用いたFETの作製もおこなった。DyScO_3はCaHfO_3に比べSrTiO_3との格子整合がよく、より良い品質のヘテロ界面形成が可能である。実際にDyScO_3を用いたFETiは50Kで75cm^2/Vsというより高い電界効果移動度をしめした。さらにイオンミリングで形成できる酸素欠損SrTiO_3を埋め込み型のソース・ドレイン電極として用いた新規デバイス構造を開発した。本手法で形成した電極は、これまで用いていた(La, Sr)TiO_3電極と同等な性能を持つことがわかった。エピタキシャル酸化物ナノ構造の開発研究も研究計画通りに進んでいる。SrTiO_3中に埋め込んだLaTiO_3ナノワイヤーが金属的であり原子レベルで急峻な構造であることが透過型電子顕微鏡観察により明らかとなった。走査透過型電子顕微鏡(STEM)によるワイヤー構造の直接観察によってSrO終端SrTiO_3表面上にのみ一原子層厚の構造が形成できることがわかった。これらの研究成果は応用物理学会、秋期MRS学会、春期APS学会などで発表した。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (16件)
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