研究課題/領域番号 |
17340106
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田仲 由喜夫 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40212039)
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研究分担者 |
柏谷 聡 産業技術総合研究所, エレクトロニクス部門, グループリーダー (40356770)
永井 克彦 広島大学, 総合科学部, 教授 (90034743)
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キーワード | 近接効果 / スピン3重項超伝導 / 超流動 / トンネル効果 / メゾスコピック効果 |
研究概要 |
異方的超伝導の近接効果の研究として、スピン3重項超伝導体と常伝導接合系また強磁性体との接合系における研究を大域的に行った。特にスピン3重項との接合では従来の近接効果と異なり、ゼロエネルギーにピーク構造をもつ状態密度が現れた。これは、界面に形成される、ミッドギャップアンドレーエフ共鳴状態と近接効果が共存することに起因する。また常伝導領域に侵入したクーパーペアが特異なエネルギー依存性を持ちそのために、磁場に対する応答が異常になることが解明された。一方、d波超伝導体・常伝導金属・d波超伝導体の接合においては、界面にできる共鳴状態と近接効果が競合関係にあるために、特異な温度依存性が現れることがあきらかになった。 境界を有する超伝導、超流動系の動的性質を明らかにする目的でKeldysh形式の準古典的グリーン関数法の定式化を行った。具体例として超流動He-3B相の音響インピーダンスの計算を行い、境界近傍の表面束縛状態の存在が音響インピーダンスの温度依存性を支配していることを明らかにし、実験を説明する結果を得た。昨年夏に田仲とケルディッシュグリーン関数を使った近接効果に関する議論を行った。 産総研の柏谷は、FIBによる素子微小化のプロセスにより、銅酸化物超伝導体のサブミクロンサイズの接合作成技術を確立した。このプロセスを用いてトンネル接合を作成し、極低温下での輸送特性の評価を行った。当初予定していたメゾスコピック効果ではなくマクロな量子トンネル効果を観測することに成功し、MQT(マクロな量子トンネル効果)へのクロスオーバー温度が0.5K程度を得ることにより、銅酸化物超伝導体をQubitとして応用できる可能性を明らかにした。Ru系に関しては、今年度は加工プロセスの評価を行い、素子作成および輸送特性の評価は次年度に行う予定である。
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