研究分担者 |
宇田川 眞行 広島大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (70144889)
小口 多美夫 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 教授 (90253054)
伊藤 昌和 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助手 (40294524)
中村 文彦 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助手 (40231477)
石松 直樹 広島大学, 大学院理学研究科, 助手 (70343291)
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研究概要 |
圧力誘起絶縁体超伝導体転移カルコゲナイドスピネルCuRh_2S_4関連新物質における新機能の探索を開始した。 1.チオスピネルCuCrZrS_4の純良多結晶の作製に成功した。Cu(99.99%),Cr(99.99%),Zr(99.9%),S(99.999%)をストイキオメットリクに秤量し石英管のなかで1023K,7日間,固相反応を行い粉末状試料をまず作製した。それをアスペクト比1:5で矩形の棒状に1023K,2日間シンターすることにより純良多結晶を得た。この試料に対して,dc磁化率,磁化および比熱の測定を行った。磁化率は,QD社MPMS SQUID磁束計を用い,2から300Kの温度域でゼロフィールドクールおよび100Oeのフィールドクールの条件で測定した。磁化は,2から120Kの温度域で-45kOeから+45kOeまで磁場を変化させて測定した。等圧比熱は,1.8から150Kの温度域で,QD社PPMSを用いて熱緩和法により測定した。本研究の結果,この物質における強磁性的振る舞いは,通常の長距離強磁性秩序に起因するものでは無いことが判明した。dc磁化率および磁化から,Tc*=51K以下で0.36μB/f.u.(atT=0K)の小さい自発磁化をもつ強磁性的振る姪となることを確認した。温度降下とともにdc磁化率の不可逆性がTc*で現れるが,更に温度を下げるとT_f=6Kにおいて磁化率が急激に増大する。比熱は,驚くべき事に測定温度範囲1.8から150Kにおいて,磁気転移に特徴的な異常が全くない。これらの起源に関する早急な解明が必要である。 2.固相反応法により,新物質テルライドスピネルCuCr2Te4の多結晶作製に成功した。X線回折実験,比熱,dc磁化率および磁化の測定を行った。構造は,格子定数a=11.134Aの立方晶スピネル構造である。さらに,T_C=324Kにキュリー温度をもつ強磁性体であることが初めて分かった。380から650Kにおよぶキュリー・ワイス則から,有効磁気モーメントμ_<eff>=4.14μB/Cr-ion,ワイス定数θ=+357Kをえた。更に低温磁化は,ブロッホのT^<3/2>およびT^<5/2>則を示し,スピンは励起があることを示唆している。
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