研究分担者 |
宇田川 眞行 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (70144889)
小口 多美夫 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (90253054)
伊藤 昌和 鹿児島大学, 理学部, 准教授 (40294524)
中村 文彦 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教 (40231477)
石松 直樹 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教 (70343291)
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研究概要 |
幸い,昨年度まででほぼ当初の計画を達成することが出来た。最終年度は,新たな展開,新物質探索,新機能創成計画の一環としてCeMg_2(Cu_<1-x>Ni_x)_9の合成にx=0と0.02について成功した。 CeMg_2(Cu_<1-x>Ni_x)_9では,希土類元素が2次元配列を有する特徴を持つ。これらの試料について,等圧比熱の温度依存性測定を実施した。X=0では2.5Kにx=0.02では1.7Kに大きな比熱異常を観測した。その起源は反強磁性転移である。格子比熱を差し引くことにより求めた磁気比熱は,何れの試料でもショットキー型の温度依存性を30K付近で示す。これは,希土類金属の4f電子状態が結晶場によって分裂したためである。理論値とのフィッティングを試みた結果,x=0では第1励起状態が60K,第2励起状態が60K,第2励起状態が130Kに存在することが判明した。一方,x=0.02ではそれぞれ,78Kと143Kという結果を得た。結晶場分裂幅のx依存性は,銅イオンをニッケルイオンで置換することによって生じる化学圧力による試料圧縮効果によるものと推察される。 スピネルはパイロクロアやスクッテルダイトの比較からカゴ関連物質の一つと見ることが出来る。カゴ関連物質の特性把握のため,LaFe_4Sb_<12>の弾性率測定を行った。本物質は,中性子の被弾性散乱実験からLa原子の巨大変位を伴う非調和振動現象を生じることが示唆されていた。超音波位相比較法を用いて,単結晶試料の横波弾性率C_<44>の温度依存性を超音波周波数を変えながら4.2Kから150Kの範囲で詳細に測定した。超音波周波数は,30MHzから220MHzを用いた。その結果,30Kから80Kの間に明確な弾性率の周波数分散が存在することを初めて見出した。解析の結果,緩和時間は,3.1x10^<-11>秒,励起エネルギーは約300Kと見積もることが出来た。
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