研究課題/領域番号 |
17340114
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
寺崎 一郎 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30227508)
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研究分担者 |
田崎 秀一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10260150)
森 初果 東京大学, 助教授 (00334342)
森 健彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60174372)
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キーワード | 有機導体 / 電荷秩序 / 非線形伝導 |
研究概要 |
本年度の成果を以下に列挙する。 (1)本研究の目的の一つである、パルス電圧に重畳させた制限波下での誘電応答の測定に成功した。この技術はやがてパルス磁場中での磁気誘電応答の測定などに応用できるとともに、ジュール熱の効果を最小にして誘電応答を測定できる可能性を切り拓くものである (2)スプリング8における電場下での構造解析の結果、非線形伝導現象が本質的に非熱的であること、また電流によって電荷秩序が融解することに伴う巨大な電歪効果が観測された。 (3)いくつかの強相関遷移金属酸化物で同様の巨大非線形伝導を見出した。 (4)非織形伝導を示す有機伝導体の探索を行い、2分子のTTFの縮環した(TSM-TTP)(13)5/3において非常に低いしきい電場をもつ非線形伝導を見出した。またインコメンシュレート構造をもつ(MDT-TD)(12Br)0.420においてθ塩についで2番目の自発電流振動を見出した。 (5)室温において、今まで報告されている中で最低のしきい電場印加で、負性抵抗を示す新規分子性導体alfa-(meso-DMBEDT-TTF)2CF3S03を作り、負性抵抗の原因が、ボーダー型電荷揺らぎを融解しているためであることを、結晶構造、伝導性、誘電応答、ラマン分光から明らかにした。 (6)beta-(meso-DMBEDT-TTF)2PF6は、120Kで絶縁化し、チェッカーボード型電荷秩序(CCO)を形成するが、電場印加により、2段ステップでCCOが融解し、途中準安定状態を経ていることを明らかにした。 (7)非平衡パイエルス転移の平均場近似理論において、秩序パラメータに関する自己無撞着方程式が数値計算に対して安定でないことが見出されたため、解析的・数値的に詳しく吟味し、正確な相図を得ることに成功した。
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