研究概要 |
平成17年度に本研究の基盤となる主な実験装置の購入と設置を行い,平成18年度はさらにそれら全てを結合して機能させるために必要な物品の購入と詳細な整備を行うとともに,それを用いて予備的な実験を行った。具体的には,整備に関しては,新しいガラスクライオスタットの設計と製作,そのクライオスタット内部を高速に排気・減圧するために必要な頑丈なクライオスタット架台の設計と製作,3台のYAGレーザーの整備とポッケルズセルによる短パルス化の試み,などである。また,予備的な実験としては,超低温ヘリウム3ガス中に散布したマグネシウム原子の発光ズペクトルの観測の試みを行った。これは,以前,超流動液体ヘリウム4中に散布したマグネシウム原子の発光スペクトルがヘリウムエキサイプレックスを生成していることを窺わせたため,超低温ヘリウム4ガス中に散布したマグネシウム原子で確かにヘリウムエキサイプレックスが生成され得ることを確かめたが,その研究の延長線上のものである。すなわち,ヘリウム4よりも軽くしかもフェルミオンであるヘリウム3雰囲気中においては,マグネシウム原子はエキサイプレックスを生成するのか,或いは,生成するとしたらどのようなエキサイプレックスを生成するのかを調べることを目的としている。まだ満足できる結果は出ていないが,その後も実験は継続中である。しかしながら,その途中で,実験の中心的な役割を担う3台のYAGレーザーのうちの1台が故障してしまい,平成18年度に予定していた実験を満足に遂行することが出来なかった。次年度は,早急にYAGレーザーの修理を行うとともに,これまでの予備的な実験結果を基にして本格的な実験を行う予定である。
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