研究分担者 |
中野 隆 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教 (00183517)
桃園 聡 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (70262300)
相沢 慎一 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (50222451)
立川 真樹 明治大学, 理工学部, 教授 (60201612)
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研究概要 |
細菌はべん毛(フラジェラフィラメント)を回転させて遊泳しているが,回転モーターとスクリューに相当するフラジェラフィラメントをつなぐフックフィラメントは毎分1万回転以上で回転する高速回転をフラジェラフィラメントに伝えるだけてはなく,方向置換の時,べん毛の方向が変わってもモーターの回転を速やかに,また滑らかに伝える役割を持っている。このような特殊な力学的性質をもったタンパク質繊維の特性を調べ,この機構を明らかにすることが目的である。昨年度までは菌体より単離したフラジェラフィラメントおよびポリフックフィラメントを急速凍結・凍結乾燥し,そのらせん直径・ピッチのゆらぎから弾性定数を算出することを試みてきた。その結果ポリフックは直径・ピッチのゆらぎが計測できたが,フラジェラフィラメントに関しては直径が大きく立体構造を残したまま乾燥させることができなかった。このためフラジェラフィラメントの弾性定数は文献値をもとに計算し,フックフィラメントの剛性率は3.3×10^7Paであることがわかった。今年度はフラジェラフィメンとの弾性率を溶液中で計測するために,蛍光染色したフラジェラフィラメントを蛍光顕微鏡下で直接操作することを試みた。1マイクロメートル程度の細心ガラス管を作り,フラジェリンの抗体をガラス管に結合させることによりフラジェラフィメントを捕捉し,ナノマニュピレータを制御することでフィラメントにかかる力および伸びを計測することを試みた。その結果,ガラス細管の直径がまだ大きく,たわみを計測するには至らなかった。また,抗体の固定法にも問題があることがわかり,現在も引き続い操作法を改善しているところである。
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