1.赤外顕微鏡付きフーリエ変換型分光装置(FT-IR)(別途購入)を用いてマグマの初期含水量を求めるための試料作成に必要な、両面を鏡面研磨した厚さが既知(数十ミクロン)の切片を作るために、切片の厚さを高精度で制御できる精密切断装置(アキュトム-50)を備品として導入した。また、軽石の基本的性質である、発泡度(軽石のうち気泡の占める体積分率)及び見かけ密度の測定のために密度測定器(アキュピック1330)を備品として導入した。 2.桜島大正噴火について、時系列に沿って採取された降下軽石について気泡数密度(BND)及び斜長石マイクロライト数密度(MND)を測定した。その結果、BND、MNDともに、噴火の初期から後期にかけて単調に減少していることがわかった。このことは、噴火の初期から後期にかけて、火道深部でのマグマの上昇速度が、単調に減少したことを意味している。また、気泡の核形成深度でのマグマの減圧速度は、2.0-1.0x10^8Pa/sと変化することが定量的に明らかになった。 3.雲仙平成噴火について、時系列に沿って採取された火砕流堆積物中の石基斜長石マイクロライトの結晶サイズ分布を測定し、MNDの時系列変化を決定し、マイクロライト数密度脱水速度計を応用し、マイクロライトの核形成深度でのマグマの上昇速度を0.8-5.2cm/sと推定した。それらの情報と噴出率及び質量保存則から、火道の変形過程を明らかにした。その結果、火道は、噴出率の振動と同期して膨張・収縮し、噴火の終息に伴って閉塞したことがわかった。 4.桜島の最近のブルカノ式噴火の火山灰の組織解析と石基の局所石基全岩組成(LGBC)の測定を行った。その結果、LGBCは石基マイクロライトの結晶度と相関をもって変化していることが明らかになった。
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