1.伊豆大島1986Bと富士宝永噴火の玄武岩質安山岩の準プリニー式噴火では、次のマイクロライト・システマティックスがあることが判った。 (1)発泡度と結晶度の負の相関(斜長石、輝石とも)。 (2)結晶数密度と結晶度の正の相関(輝石)。 (3)気泡数密度と結晶数密度(輝石)の正の相関。 これらのシステマティックスから、マグマからの水の析出過程が気泡数密度によって支配されていること、結晶度と発泡度が、火道流れにおける化学的非平衡と力学的非平衡によって系統的に支配されていることが判った。 2.桜島ブルカノ式噴火火山灰を物質科学的な観点から調べ、地球物理学的観測量と比較したところ、以下の事が判った。 (1)爆発地震の振幅が大きいとき、光沢がある火山ガラスの割合が多い。 (2)前駆BL型地震群発が起こらなかった場合、空振強度が大きいと、火山ガラスのN/V個数比が大きい。 (3)前駆BL型地震群発が起こらなかった場合、空振強度が大きいと、火山ガラスの斜長石マイクロライト数密度が大きい。 (4)前駆BL型地震群発が起きた場合、その継続時間が長いほど、N/V個数比が小さい。 3.一定減圧量での気泡の核形成・成長の数値実験を行い、メルトからの水の析出速度が気泡の成長に支配されており、拡散律則成長では気泡数密度の2/3条に比例すること、および粘性律則成長では気泡数密度には依存せず、減圧量に比例することが判った。 4.Couch et al.(2003)の減圧量一定のマイクロライト結晶化の実験を吟味し、マイクロライト・システマティックス(2)の結晶度と結晶数密度の関係が、減圧量と減圧速度の関係に相当することを明らかにした。
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