研究課題/領域番号 |
17340140
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
廣岡 俊彦 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90253393)
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研究分担者 |
宮原 三郎 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70037282)
三好 勉信 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (20243884)
高橋 正明 東京大学, 気候システム研究センター, 教授 (70188051)
藤原 均 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50298741)
秋吉 英治 (独)国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 主任研究員 (10270589)
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キーワード | 太陽活動 / 大気大循環 / 光化学反応 / シミュレーション |
研究概要 |
本研究は、多様に変化する太陽活動が地球大気に与える影響について、大気大循環モデルの開発とそれを用いた数値実験、ならびに観測データの解析を通して定量的に明らかにすることを目的とする。本年度に得られた成果は以下の通りである。まず、CCSR/NIES化学気候モデルを用いて、太陽放射11年周期振動の成層圏オゾンへの影響を調べた。赤道域上部成層圏のオゾン変化は太陽放射による影響で生じるのに対し、赤道域下部成層圏のオゾン変化は、火山噴火の効果が一番大きいことがわかった。後者は、1980-2004年の間でオゾン濃度変動の要因別の回帰解析を行うことにより明らかになったもので、下部成層圏では、太陽活動変動と同程度の時間間隔で生じた火山爆発によるシグナルを太陽変動として拾い上げる可能性のあることがわかった。並行して、熱圏モデルと化学反応を含まない大気大循環モデルを結合したモデルを用いたシミュレーションを行い、熱圏領域における下層大気起源の重力波活動度について太陽活動依存性を調べた。その結果、下層大気起源の大気重力波の卓越周期は、太陽活動度にかかわらず、高度とともに短くなることがわかった。一方、大気重力波に伴う中性大気の風速・温度変動の振幅は、太陽活動度が増加するにしたがって弱くなる結果が得られた。これは、熱圏の大気密度が太陽活動度に伴い増加することや、熱圏下部における静的安定度が太陽活動に伴い変化することが原因であることがわかった。また、これらの重力波の特徴は、CHAMP衛星により得られた特徴とも定性的に一致するものであった。さらに、下層大気に起源を持つと考えられる2〜3時間程度の顕著な変動が極域熱圏大気に見られ、夏季に振幅が大きく冬季に振幅が小さくなるという特微が得られた。
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