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2005 年度 実績報告書

海洋レーダーを中心として沿岸部・海峡部の表層海況を監視するシステムの開発研究

研究課題

研究課題/領域番号 17340141
研究機関九州大学

研究代表者

増田 章  九州大学, 応用力学研究所, 教授 (60091401)

研究分担者 吉川 裕  九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (40346854)
キーワード海洋レーダー(HFレーダー) / ADCP(音響式鉛直分布測流計) / 検証(バリデーション) / 海面境界層 / 吹送流 / エクマン層 / 季節変動 / 方位検出改良手順
研究概要

1.実証(バリデーション)観測と解析,システム整備と解析法の開発
調査艇だんりゅう搭載ADCPおよび他の船舶搭載ADCPによる表層測流結果が海洋レーダーによる測定と概ね一致することを散乱図(scatter diagram)で確認した。但し平均を施さない瞬時値では誤差も大きい。また理想的アンテナ・パターンを想定して信号到来方位を検出すると非現実的な流速分布を生じることがあった。よって常に実測アンテナ・パターンを用いて方位を推定する必要があることが分かる。
耐底引漁網防具を冠した底置型ADCPおよび筏に搭載したADCPにより,海面付近の境界層と海洋本体部の流速鉛直分布を同時計測し海洋レーダーと比較する観測を試験的に実施した。筏の長期係留は出来なかったがエクマン螺旋を示唆する流速分布を得た。
異なる二つのレーダーシステムを統合して流速分布を自動合成する手法を開発した。またシステムに発生した異常を感知しスタッフに報知して迅速な復旧を可能にする体制を開発・整備した。時に不具合もあるが概ね順調に稼働するようになった。
2.海洋学的知見
筏観測によれば吹送流の効果が大きい。この効果は次の問題と密接に関係している。海洋レーダーで求めた冬季の対馬海峡東水道の平均流には東向きになるものが多い。北東を向く海岸・海底地形に対し不自然である。実際,夏季平均流は確かに北東を向いている(対馬渦に当たる反流も見えるが)。この結果には(1)海洋レーダーがごく浅い海面付近の流速を測っていること,(2)海面付近では風による吹送流(含エクマン流)の効果が大きいことが関係する。更に,(a)冬季に北西季節風が強く吹き,(b)冬季に対馬暖流が弱く,(c)対馬暖流はもともと東水道で弱いという要因が重なることが原因と考えられる。今回の観測で得た知見と対馬海峡における風況気候値を基に簡単な補正を施したところ,冬季の平均流が夏期の流速分布に似てくる(大きさは違う)ことが分かった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] 短波レーダーにより観測された対馬海峡の潮流2005

    • 著者名/発表者名
      奥野章, 吉川裕, 増田章, 丸林賢次, 石橋道芳
    • 雑誌名

      九州大学総合理工学報告 Vol.27, No.1

      ページ: 9-19

  • [雑誌論文] Parameterization for C02 transfer velocity at the surface of wind waves2005

    • 著者名/発表者名
      H.Tsumori, T.Sugihara, A.Masuda
    • 雑誌名

      J.Hydroscience and Hydraulic Engineering Vol.23,No.1

      ページ: 43-55

  • [雑誌論文] 風波気液界面における二酸化炭素交換速度の評価に関する実験的研究2005

    • 著者名/発表者名
      津守博通, 杉原裕司, 増田章
    • 雑誌名

      土木学会論文集 No.782/11-70

      ページ: 101-116

  • [雑誌論文] Imaging measurement of whitecaps at the sea observation tower2005

    • 著者名/発表者名
      T.Sugihara, H.Tsumori, H.Yosioka, S.Serizawa, A.Masuda
    • 雑誌名

      Proc.29^<th> Conf.Coastal Engineering 2004 Vol.1

      ページ: 1082-1092

  • [雑誌論文] 対馬海峡に設置されたHFレーダーの計測精度再検証2005

    • 著者名/発表者名
      吉川裕, 増田章, 丸林賢次, 石橋道芳, 奥野章
    • 雑誌名

      沿岸海洋研究 Vol.43, No.1

      ページ: 69-75

  • [雑誌論文] 日本海深層流の形成機構に関する数値実験2005

    • 著者名/発表者名
      吉川 裕
    • 雑誌名

      ながれ Vol.24 別冊

      ページ: 174-174

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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