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2006 年度 実績報告書

海洋レーダーを中心として沿岸部・海峡部の表層海況を監視するシステムの開発研究

研究課題

研究課題/領域番号 17340141
研究機関九州大学

研究代表者

増田 章  九州大学, 応用力学研究所, 教授 (60091401)

研究分担者 吉川 裕  九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (40346854)
キーワード海洋レーダー(HFレーダー) / ADCP(音響式鉛直分布測流計) / 検証(バリデーション) / 海面境界層 / 吹送流 / エクマン層 / 季節変動 / 方位検出改良手順
研究概要

1.検証観測と解析:分散誤差・系統誤差
一時間ごとの海洋レーダー計測の誤差を検討した。向かい合う二つの海洋レーダー(対面レーダー)が計測する同一地点の視線流速を比較したところ最大6.6-11.3cm/s程度の分散誤差があることがわかった。次にフェリー搭載ADCPによる長期間観測で得た潮流楕円と同地点で海洋レーダーが算出した潮流楕円とを比較したところ、潮流楕円振幅・位相・主軸方向のいずれでも数パーセント以内の違いに収まった。よって海洋レーダーの計測誤差は主に分散誤差にあると結論づけられる。分散誤差は標本平均により減少するので、長時間平均により信頼性が高くなる。例えば一日平均(24個の平均)で2.0-4.6cm/s程度、月平均で0.6-1.7cm/s程度まで減少する。
2.海洋学的知見:とくにエクマン吹送流に関連して
ADCPによる筏観測で得た流速資料および別途得た海上風応力資料を基に、風応力が駆動する流速成分(吹送流成分;海面塊界層流)の鉛直分布を調べた。風応力と吹送流の間に一定の時間差(応答時間)を仮定して主成分解析をしたところ、第一主成分としてエクマン螺旋と見られる鉛直分布をもつ吹送流を検出した。また吹送流範囲を深さ18m、応答時間を11時間とした場合に推定した吹送流の輸送量が、風応力によるエクマン輸送量と最も良く一致することが分かった。
標準理論によれば海面の吹送流は風応力の右45度を向くという(方位角差)。実際にはやや小さいという観測報告が多く、深さに依存する鉛直粘性や非定常性がこのずれの原因と考えられている。ここでは鉛直粘性を一様として変動風応力に対する応答を調べ、確率を加味して定義した方位角差が確かに45度より小さくなることを解析的に示した。なお今回の筏観測では逆の結果も得ており、更なる検討を要する興味深い問題である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] 流軸の揺れで生じる流軸に平行な向きの渦成海水輸送2007

    • 著者名/発表者名
      増田 章
    • 雑誌名

      九州大学応用力学研究所所報 123号

      ページ: 37-53

  • [雑誌論文] 表層流・潮汐に関する覚書 -海洋レーダー観測に関連して-2007

    • 著者名/発表者名
      増田 章
    • 雑誌名

      九州大学応用力学研究所所報 123号

      ページ: 55-74

  • [雑誌論文] Intermadiate water formation at the Japan/East Sea subpolar front2006

    • 著者名/発表者名
      Lee, C.M., L.N.Thomas, Y.Yoshikawa
    • 雑誌名

      Oceanography 19

      ページ: 110-121

  • [雑誌論文] 波浪の波高統計 -低次非線形性を有する純確立摸型と風洞実験2006

    • 著者名/発表者名
      古川那津恵, 増田章, 石橋道芳
    • 雑誌名

      日本流体力学会誌「流れ」 25巻別冊

      ページ: 104

  • [雑誌論文] On the accuracy of HF radar measurement in the Tsushima Strait2006

    • 著者名/発表者名
      Yoshikawa, Y., A.Masuda, K.Marubayashi, M.Ishibashi
    • 雑誌名

      Journal of Geophysical Research 111, No.C04009

      ページ: doi:10.1029/2005JC003232

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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