研究課題/領域番号 |
17340146
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大村 善治 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (50177002)
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研究分担者 |
臼井 英之 京都大学, 生存圏研究所, 助教授 (10243081)
荻野 竜樹 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (00109274)
加藤 雄人 京都大学, 生存圏研究所, 非常勤研究員 (60378982)
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キーワード | 宇宙科学 / 宇宙空間 / 磁気圏・電離圏 / 超高層物理学 / 地球電磁気 / シミュレーション / 放射線帯 / ホイッスラー |
研究概要 |
本研究では、放射線帯を形成している高エネルギー電子フラックスの変動に大きな影響を与えているコーラス放射の発生機構と、そのコーラス放射による相対論的電子の加速過程の解明を行う。まず、磁気赤道付近の高エネルギー粒子の温度異方性によるホイッスラーモード不安定性の非線形発展を一様磁場モデルを用いて検証し、一部の共鳴粒子が相対論的エネルギーまで加速される素過程があることを見出した[発表論文1]。次に地球放射線帯の磁のモデルとして双極子磁場を使い、そこに位相の揃ったホイッスラーモード波の伝播に対応する電磁界の時間変動モデルを与えて、その中での電子の挙動を調べた。ホイッスラーモード波とサイクロトロン共鳴する電子は、加速・減速を受けて断熱的な運動から大きくずれてエネルギーが変化する。赤道付近でホイッスラーモード波が増幅されて、それが次第に赤道から遠ざかって伝播する状況を想定し、多数の共鳴電子の振る舞いとそれに伴う電子速度分布関数の変化を追跡することを試みた。大部分の共鳴電子は波と共鳴してエネルギーを失い、波を成長させる一方、これと同時に共鳴電子は波の周波数を増加させるような共鳴電流を形成し、波の周波数が次第に上昇してゆくことを理論的に解明した。また、この周波数が上昇する波に捕捉された少数の共鳴電子が効率的な加速を受けることも示した[投稿論文1]。上記の理論解析を検証するために、双極子磁場モデル下での電子の運動と共に、マックスウェルの電磁界方程式に基づいて波の時間発展を追跡する計算機シミュレーションを実行した[投稿論文2]。この計算機シミュレーションは生存圏研究所の先端電波科学計算機実験装置において1ジョブ当り2週間から4週間の実行時間が必要とする巨大な計算機実験であるため、次年度では京都大学学術情報メディアセンターの計算機システムも並行して利用できるようにプログラムの整備を行った。
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