研究課題/領域番号 |
17340148
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
豊田 和弘 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (10207649)
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研究分担者 |
池原 研 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究グループ長 (40356423)
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キーワード | クリプトテフラ / 白頭山 / 鬱陵島 / アルカリ岩 / 日本海 / 放射化分析 / 微量元素分析 / 堆積物コア |
研究概要 |
遠く離れた場所の堆積層中に挟まれた同一の火山灰層は、広い地域内での厳密な同一時間面を示す鍵層として、学問上貴重な情報となる。そのため最近注目されているクリプトテフラ(肉眼では判別できないほど薄く隠れた火山灰層)の検出法として、本研究では放射化分析が有効な手段であることを提唱している。本補助金で構築させていただいたシステムを活用して、日本海南海域で採取された堆積物コア5本の合計12m長について連続的に微量元素分析をおこない、韓国・鬱陵島起源と考えられる、完新世でのいくつかのアルカリ岩質クリプトテフラ層を検出できた。さらに放射化分析で化学的異常が検出されたそれらの層の試料からシルト粒子を分離して、顕微鏡観察とEPMA分析から細粒のアルカリ岩質テフラ粒子の希薄な混入を確認できた。0.2mm以上の大きさのテフラ粒子が2割以上含まれる層では、肉眼でもテフラ層と認識できるが、本研究で検出された層中のテフラ粒子は数十マイクロメーター以下で、テフラ成分2%の混入率の層も検出できた。これらの成果は近くG.C.A.という学術雑誌に受理される見通しである。 同様な放射化分析の結果は琵琶湖コアなどでも検出されて、その内容をJ.Q.S.という学術雑誌に投稿したが、分析試料の枯渇で異常層中のテフラ粒子の混入を確認できてないことを理由に却下された。そこで昨年度に回収された琵琶湖のコア試料についても異常層の検出をおこない、その中のテフラ粒子の存在を確認した上で、再投稿する。さらに日本海南部コア中の過去2万年前〜9万年前の層からは数回の鬱陵島由来の異常層を、日本海北東部域の5つのコアからも、白頭山起源の異常層が検出した。これらの異常層中から抽出したテフラ粒中の火山ガラスを放射化分析して、噴火毎でのガラス中の化学組成の相違から層序の対比を行い、その結果を国際学術雑誌に投稿する予定である。
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