研究概要 |
1.キルギス天山のアトバシおよびマクバル地域の高圧〜超高圧変成岩分布地域の地質調査と岩石試料の採取を行った.アトバシ地域ではエクロジャイト・ユニットと断層で接する礫岩層中の礫として藍閃石エクロジャイトが新たに発見され,この地域において,高圧型変成岩を形成する2つのイベントの存在する可能性を明らかにした. 2.キルギス変成岩との比較試料の採取のため,三波川変成帯(四国・別子)と三郡変成帯(江津〜山口)において地質調査と岩石試料の採取を行った. 3.キルギス天山の岩石試料について岩石記載と変成鉱物のX線マイクロアナライザーによる化学組成の分析を行った.その結果,アクチュツ地域のエクロジャイト岩体は,1)角閃岩相に至る低圧高温型変成作用,2)緑れん石青色片岩相を経てエクロジャイト相(690±30℃,>16kbar)に至る高圧低温型変成作用,そして3)緑れん石角閃岩相から角閃岩相へ至る比較的低圧高温型の変成作用の3回の変成イベントがあることが明らかになった. 4.キルギス天山の変成岩より年代測定を行うための鉱物(ジルコン,モナザイト,ホルンブレンドなど)分離を行った. 5.マクバル地域の角閃岩中のホルンブレンドのK-Ar年代測定を行い,881±22Maの年代を得た.これはこれまでのこの地域のエクロジャイト変成作用の年代と考えられてきた480Ma(パラゴナイトのK=Ar年代)より有意に古いものであった. 6.マクバルおよびアクチュツ地域の高圧〜超高圧変成岩中のジルコンおよびモナザイトについて,X線マイクロアナライザーを用いたCHIME法による微小領域年代測定の予察的な測定を行った. 7.日本地質学会西日本支部(松江),日本地質学会(京都),日本岩石鉱物鉱床学会(松山)において,研究成果について発表するとともに,マクバルおよびアクチュツ地域の変成岩についての研究論文の執筆をはじめた.
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