研究課題/領域番号 |
17340154
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小笠原 憲四郎 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (20110653)
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研究分担者 |
本山 功 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (80295295)
柳沢 幸夫 産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (10358210)
鹿野 和彦 産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (40356811)
田中 裕一郎 産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (50357456)
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キーワード | 統合生層序 / 新生代貝類化石 / 層序・年代 / Arcid-Potamidid動物群 / 塩原-耶麻動物群 / 逗子動物群 / 茎永層群 / 千畑層 |
研究概要 |
本年度は「統合生層序に基づく本邦新生代貝類化石タイプ標本類の時間・空間分布」の課題に基づいて、本研究費による短期雇用者等により、過去5年間程度の各種学会誌等で発表されてきた新生代層序と年代に関する文献を系統的に整理し、その概要をまとめた。また、パソコンを購入しデジタル情報を加えながら、本研究に関するデータの蓄積と整理を行った。本年度の野外調査は、北海道奥尻島、山形県米沢市周辺、房総半島鋸山周辺、新潟県佐渡島、宮城県仙台市周辺および鹿児島県種子島の新第三系について実施し、それぞれで系統的な資料採集を行った。佐渡島と奥尻島の第三系は、古地磁気層序の検討も加えながら、その年代検討を行い、男鹿半島の第三系と対比することに成功した。またこの地域のArcif-Potamidid動物群の年代を検討し、16.4Maのものである事を確認した。山形県米沢の新第三系調査では新庄盆地との年代対比を行い、これによって太平洋と日本海を断続する年代と塩原-耶麻動物群の年代的上限について成果を得た。また、仙台付近の新第三系ではNanaochlamys notoensis otutumiensisやChlamys miyatokoensisなどの七北田層や綱木層の貝類化石の生存年代を微化石と既存の年代測定の資料を検討することで確定した。さらに逗子動物群の年代層序について、前年の伊豆半島調査に続いて、房総半島鋸山周辺の千畑層に含まれるAmussiopecten akiyamaeとMiyagipecten matsumoriensisの上限年代を石灰質ナノ化石から検討し、これらが中新世最末期であることを確定した。鹿児島県種子島の茎永層群はVicaryaを産することが知られているが、この年代が本邦では特異的に13Ma頃まで伸びる残存種群であるとの指摘を再検討するために、種子島の南部を中心に、これまで貝類産出の産出報告のあった20ケ所以上の産地を訪れ、その近傍の地質調査と微化石資料の採集を行った。これらの資料は、目下検討中で、特に石灰質ナノ化石の検討を行っている。この茎永層群のArcid-Potamidid化石群集は、Telescopiumを含む熱帯マングローブの環境下のものであることは再確認したが、その上位に重なる地層群は大規模なデルタ堆積体であり、微化石等の産出が悪く、これまでの見解を議論する資料が得られるかは、さらに検討を要する。 さらに本年度は、これまでの微化石生層序や年代学などの成果を総括し、九州から北海道にいたる本邦新生代の貝類化石生層序を年代層序的に再検討し、加えて個々の貝類化石群について、熱帯から亜寒帯までそれぞれの古環境的解釈を行った。
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