研究課題
平成20年度は、本科研費の開始年度から行ってきた、南極のドームふじ基地近くの雪に含まれる微隕石(宇宙塵の一種)の回収・同定の最終年度であった。そして、ついに成層圏で回収されてきた、彗星起源とされる無水惑星間塵と全く区別のつかない鉱物学的特徴を持つものをいくつも発見することが出来た。これは世界初の成果である。無水惑星間塵は、典型的な大きさのものは5-15μmである。一方、今回発見したものは50μm以上もあり、ひとつの微隕石を研究するだけで、Wild2彗星から持ち帰られた彗星塵と無水惑星間塵の最新の研究で見出された相が含まれることを見出した。また、この程度のサイズとなると、惑星間塵の研究で「常識」とされてきた、Porousな表面形態を持つものは無水惑星間塵、Smoothな表面形態を持つものは含水惑星間塵であるとの認識は成立しないことが明ちかとなった。すなわち、惑星間塵のサイズでは分からなかったより大きな階層の立体的構造の特徴があるらしいということである。さらに驚くべきことには、こうした無水惑星間塵とコンドルールや難揮発性包有物が合体した微隕石が存在することである。Wild第2彗星の持ち帰った試料では、試料捕獲方法の問題から、細粒部分の鉱物学的特徴はよく分かっていなかった。それでも、太陽系初期に大規模な物質移動があったことが示されていた。探査機を彗星に飛ばさなくとも、地上にもたらされた物質を使っても、初期太陽系の大規模物質移動を研究できることが本研究によってはじめて証明された。
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http://info.ibaraki.ac.jp/scripts/websearch/index.html