3年間の研究期間の2年目である本年度は、岩石に含まれる流体包有物を精力的に分析し、その成果を国内および国際学会にて公表し、論文として公表することを目的とした。以下にその概要を要約する。 1.流体包有物の分析:本年度はゴンドワナ超高温変成帯であるインド、南アフリカ、南極の変成岩に含まれる流体包有物と母岩の解析を行い、のべ50サンプルを超える岩石の解析を行った。その結果、変成岩中には水、二酸化炭素、窒素、メタンなどの様々な流体が取り込まれていることが明らかになった。これらは1つの岩石中の異なる鉱物に含まれることから、各鉱物の形成ステージで異なる流体が浸透していることが明らかになった。これは変成作用進行中の流体組成の変化を意味する。比較のために国内の阿武隈変成岩に含まれる流体包有物の解析を実施中であるが、予察的な結果ではゴンドワナ変成帯とは異なる結果が得られている。これは、ゴンドワナ変成帯が大陸衝突による大規模な変成作用によって形成されたのに対し、阿武隈は沈み込みによる変成作用(脱水された水による影響)によって形成されたためと考えられる。 2.研究成果の公表:以上の結果を論文としてまとめ、平成18年度内に8編(国際レフェリー誌6編、国内英文レフェリー誌2件)の論文を公表した。なお、その他に現在2編の論文が印刷中、5編の論文が査読中である。また、海外においても第1回アジア流体包有物会議(南京大学)にてインドにみられる高圧変成岩中の流体包有物研究の成果を発表し、第19回国際鉱物学連合会議(神戸)および第3回ゴンドワナーアジア学会(香港大学)においては、ゴンドワナ大陸形成時の造山運動における流体の役割について発表した。また日本国内においては2006年地球惑星連合大会、日本地質学会年会、極域地学シンポジウム、東南極セミナーなどで研究発表を行った。
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