理論・計算機シミュレーションと、環境その場観察実験による研究を行った。 I-1 理論・計算機シミュレーションによる研究 有機分子-粘土分子表面間の相互作用に関する知見を得るため、有機分子-粘土鉱物クラスター系、および有機分子-粘土鉱物結晶表面について電子状態計算を行った。これらを総合し、有機分子-粘土鉱物表面系の分子シミュレーションの実施に必要な原子・分子間相互作用モデルを作成している。 代表者が開発した無機化合物系の汎用分子動力学計算プログラムMXDORTO/MXDTRICLシステムを拡張し、有機分子のみからなる系、および有機分子-無機物系の分子動力学法計算の実行を可能なものにしている。分子内結合の取り扱いと2面角ポテンシャルモデルを導入する。また計算に用いる初期原子配置の生成のプロクラムを作成した。また分子間挙動に関する平衡状態とダイナミックスの解析手法とその計算プログラムを開発を行っている。原子数5万個程度までの大規模系の計算にはすでにほぼ対応した。 I-2.その場観察実験 既設の環境(温度、湿度)その場X線回折実験用試料室(200℃、1気圧、1気圧までの飽和水蒸気圧)をベースとし、有機物雰囲気でのその場測定の可能な試料室を設計・製作した。また高精度赤外分光光度計を導入した。これにも同様な環境制御その場試料室を製作した。温度は室温から100℃までで、全圧は数気圧である。 I-3.考察・議論 理論・計算機シミュレーションによる結果と、X線回折および赤外吸収分光によるその場測定結果を総合して、1年目として、エタノール分子間および、エタノール分子-粘土表面間の分子間相互作用の開発と検証を行った。
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