研究課題
平成17年度は、年間を通じたエアロゾルのサンプリングを実施し、エアロゾル中のPAH濃度の季節変化や粒径分布を調べ,黄砂によるPAHの長距離運搬の有無について検討した。また、温度・湿度コントロールが可能な反応セル(新規)を作成し、様々な温度・湿度条件における黄砂構成微細物質とPAHの反応実験を通して、黄砂構成微細物質表面が関与する輸送過程での反応や主要運搬媒体について考察した。その結果、サンプリング期間内において3回の黄砂現象が確認され、その内の1回では粗粒粒子フラクションにPAHの濃縮が認められた。細粒・粗流粒子フラクション中のPAHの変動パターン解析と黄砂現象が確認された時期における空気塊の軌跡(back trajectory)解析から、発生源(黄土高原)において元来PAHで汚染された土壌粒子が運搬されたことと、黄砂粒子がPAHの運搬媒体になりうることが明らかとなった。黄砂構成微細物質とPAH(モデルPAHとしてピレンを使用)の反応実験の結果からは、石英、αアルミナなどの酸化物に伴われるピレンは粘土鉱物やフミン酸に伴われるピレンに比べて分解速度が著しく速く、石英に吸着したピレンは3日後までにほとんどすべて分解されることが明らかとなった。また、その分解速度は高い相対湿度条件下ほど速く、その効果は特にαアルミナで著しかった。ほとんど全ての吸着媒体で、光照射によりピレンの分解促進効果が認められたが、粘土鉱物やフミン酸ではその影響は僅かであった。このように、酸化物表面に吸着したピレンは運搬過程で容易に分解されるのに対して、相対湿度や光照射の有無によって若干の影響を受けるものの、粘土鉱物やフミン酸に伴われるピレンは比較的安定に運搬されることが明らかとなり、粘土鉱物や鉱物に付着したフミン酸がPAHの長距離運搬媒体として作用するものと推察した。
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