研究課題
多環芳香族炭化水素(PAH)が国境を超えて長距離運搬されることについて世界の各地で報告がなされてきたが、近年の東アジア諸都市の著しい経済発展にもかかわらず、そこから日本海を越える長距離運搬は明らかにされてこなかった。本研究では金沢において2003年の春季からおよそ1年間エアロゾルをサンプリングし、黄砂粒子に伴われるPAHの長距離運搬に関して検討した。また、黄砂構城鉱物粒子表面に吸着したPAHの安定性について実験的に検討した。観測期間中に黄砂飛来が確認されたサンプリング期間は3期間で、それぞれ黄砂現象確認時期1(3月11日〜19日、2004)、2(3月28日〜4月9日、2004)および3(4月9日〜4月25日)であった。黄砂粒子の粒径は通常時に比べ比較的粗粒(2.2-11μm)であることが確認された。PAHは粗粒(2.2-11μm)のエアロゾルと細粒(<1.1μm)のエアロゾルからそれぞれ抽出・定量された。その結果、黄砂現象確認時期3の黄砂には、高濃度のBenzo[a]pyrene(BaP)やBenzo[g,h,i]perylene(BghiP)などの揮発性の低いPAHが含まれていた。これらの揮発性の低いPAHはガス状として存在する濃度が小さく、東アジア大陸内部の元々PAHに汚染された土壌からもたらされたものと推定された。後方流跡線解析の結果、黄砂現象確認時期3の黄砂は工業地帯に隣接する黄土高原から発生していることも明らかとなった。黄砂粒子表面に吸着したPAHの安定性について、本研究で新たに製作した相対湿度と温度がコントロール可能な反応セルを用いて検討した。PAHのモデル物質としてPyrene(Pyr)を実験に用いた。暗所では、モンモリロナイトおよびフミンはPyrを実験期間中(3日間)安定に保持したのに対し、石英およびアルミナ上のピレンは濃度を半減した。相対湿度の上昇はピレンの安定性を減少させる方向に働いた。黄砂構成鉱物の中で粘土鉱物が最もPAHを安定に運搬する媒体として働くことが指摘された。
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