研究課題
多環芳香族炭化水素(PAH)が国境を超えて長距離運搬されることについて世界の各地で報告がなされてきたが、近年の東アジア諸都市の著しい経済発展にもかかわらず、そこから日本海を越える長距離運搬に関しては明らかにされてこなかった。本研究では、まず初めに、金沢において2003年の春季から1年間エアロゾルをサンプリングし、黄砂粒子に伴われるPAHの長距離運搬に関して検討した。その結果、黄砂に伴われるPAHは東アジア大陸内部のPAHに汚染された土壌からもたらされたものと推定した。後方流跡線解析の結果、PAHを伴う黄砂は工業地帯に隣接する黄土高原から発生していることも明らかとなった。次に、黄砂粒子表面に吸着したPAHの安定性を検討するため、ピレンやフェナントレンをPAHのモデル物質とし、石英、アルミナ、カオリナイトおよびモンモリロナイトに混合されたピレンやフェナントレンの挙動を暗所、相対湿度・温度制御下で調べた。これらの黄砂構成鉱物の中では、粘土鉱物であるモンモリロナイトのPAH吸着量が高く、PAHと高い親和性を有する土壌有機成分であるフミン酸との親和性も高かった。一方、石英は黄砂構成鉱物としての相対量が大きいが、その表面がPAHの分解性を有していることも明らかとなった。以上のことから、モンモリロナイトが最も優勢なPAHの運搬媒体であることが予想される。また、相対湿度0.1%未満の暗所において、カオリナトおよびモンモリロナイトとの混合試料が黒色に変色していることが認められ、反応生成物の質量分析の結果から、反応物はピレン重合したものであると結論づけた。以上のことから(1)粘土鉱物がPAHの優勢な運搬媒体であること、(2)暗所でもPAHの反応を促進させる可能性のあること、(3)その活性は相対湿度等に大きく依存することが明らかとなった。
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