研究分担者 |
宿野 浩司 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 技術研究主任 (50359204)
谷 健一郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 技術研究副主任 (70359206)
川畑 博 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 技術研究副主任 (90392943)
常 青 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 技術研究主任 (30359195)
石塚 治 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究員 (90356444)
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研究概要 |
スミスカルデラにおいて、岩石学的研究(Tamura, et. al.,2005;Shukuno, et. al.,2006)に引き続いてカルデラの噴火様式を議論した論文(Tani, et. al.,2008)が出版された。またスミスカルデラの100km南には噴火活動により無人島となった鳥島火山が海底下1000mから屹立している。海底調査および鳥島上陸調査により鳥島火山の詳細な岩石学的研究が出版された(Tamura, et. al.,2007)。この論文は一つの火山を徹底的に調査分析することにより、島弧マグマの成因に関する普遍的な事実(wetなマグマとdryなマグマの共存)を導くと共に、火山フロント直下の沈み込むスラブの含水鉱物(フェンジャイト)の安定性までを議論したものである。島弧マグマの成因論をさらに一歩前進させたものであると自負している。また、マリアナの海底カルデラWest Rotaの地質、年代と岩石、噴火様式を議論した論文(Stern,Tamura, et. al.,2008)が出版された。 伊豆小笠原マリアナ弧はフィリピン海プレートに太平洋プレートが沈み込むことによって生じた海洋性島弧であるが、その地殻構造は一様でなく、北部から南部に向かって薄くなり、水曜海山付近でもつとも地殻が薄いことが判明した(Kodaira, et. al.,2007)。無人探査船Hyper-Dolphinをもちいて水曜海山およびその西側の水曜カルデラの綿密な調査およびサンプル採取をおこなった。現在分析が進行中である。北からスミス、鳥島、水曜と100キロづつ離れた火山のマグマを比較すると鳥島においてもつともマントルのマグマ成分が欠如している(マントルの部分溶融度が大きい、マントルの温度が高い)ことが判明した。興味深いことに、地殻構造とマグマには直接の蘭係は認められない。一方、このマグマの系統的な変化は地殻の下のマントルウエッジの熱構造に関係している可能性が示唆された(Isse,Shiobara,Tamura, et. al.投稿中)。これは、3次元S波速度構造モデルと伊豆小笠原マリアナ弧の火山の岩石学的、地球化学的特徴を結びつけた転新な論文である。
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