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2006 年度 実績報告書

始生代堆積岩中の窒素同位体組成から解読する原始地球の表層環境-窒素捕獲形態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17340168
研究機関大阪大学

研究代表者

橋爪 光  大阪大学, 大学院理学研究科, 助手 (90252577)

キーワード原始地球 / 表層環境 / 窒素同位体 / 堆積岩 / 縞状鉄鉱床 / 始生代
研究概要

本研究では、始生代(約25〜40億年前)の堆積岩を用い、バイオマーカである窒素同位体組成を分析することにより原始地球の表層環境を探った。本年度は縞状鉄鉱床(BIF)試料中の窒素同位体組成を重点的に調べた。BIFは海水あるいは熱水中に溶解していたFe^<2+>が酸化されてFe^<3+>に変化した際にその水酸化物が水中に沈殿して形成されたものだと考えられている。BIFが多く形成された時期はちょうど地球における酸素の急激な増加の時期と一致していることがわかっている。BIFに含まれる窒素同位体比組成は現世の堆積岩あるいは海洋生命圏に見られる典型的組成に比べて^<15>Nに1%以上富んでいる。現世の海洋生命圏の窒素同位体比組成はバクテリアを介した窒素循環によって決まっている。中でも、硝酸塩を取り込み窒素分子を放出する際の同位体分別過程が組成を決める重要な要素になっている。過去の地球においても現代と同様な窒素サイクルが成り立っていたとすると、窒素が^<15>Nに富んでいれば地球表層が硝酸イオンが非常に安定な環境であったことを示すことになる。硝酸イオンは周囲が酸化的な環境において安定であるので、このことから窒素同位体比を調べることで過去の地球表層の酸化還元状態について検証することができる。今回主に用いた試料はインドDhawar Cratonに産するもので、U-Pb法による形成年代は2.7-2.9Gaである。鉱物分離を施した試料の窒素同位体比分析を進めた結果、石英相中に特に^<15>Nに富む窒素成分が濃集していることがわかった。さらに、その石英相を過酸化水素水で処理すると^<15>Nに富む窒素成分の大部分が失われる事が判明した。このことから、BIF中の^<15>Nに富む窒素は有機物の形で石英微粒子の間に捕獲されていることが示唆される。今回明らかになったBIF中の有機物が後期始生代の海洋生命圏に由来するものであればBIF形成期にその形成域において何らかの原因により酸化還元状態が変化したことを示す証拠となりうる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Biogenic nitrogen and carbon in Fe-Mn-oxyhydroxides from an Archean chert, Marble Bar, Western Australia.2007

    • 著者名/発表者名
      Pinti D.L., Hashizume K., Orberger B., Gallien J., Cloquet C., Massault M.
    • 雑誌名

      Geochemistry, Geophysics, Geosystems 8

      ページ: Q02007

  • [雑誌論文] Micro-facies and origin of some Archaean Cherts (Pilbara, Australia).2006

    • 著者名/発表者名
      Orberger B., Rouchon V., Westall F., deVries S.T., Pinti D.L., Wagner Ch., Wirth R., Hashizume K.
    • 雑誌名

      The Geological Society of America Special Papers 405

      ページ: 133-156

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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