研究概要 |
ほぼ当初計画どおりの実績をあげることができた.1.本計画の基盤は高性能CCDカメラの整備による画像計測の空間分解能の向上であった.これについては,現場の工夫を加えながら,画像伝送光学系の拡充と熱輻射ノイズの軽減とを合わせて,S/N比が高く(最大6000:1)最高空間分解能10μmの高性能を達成した.これは強磁場中電子のラーモア半径に匹敵するスケールであり,渦の自己組織化過程における散逸機構の所在の検証において強力な武器となる.既に無衝突渦の微細構造は数十10μmまで観測している.2.強磁場の中での熱平衡分布に関しては,高い空間分解能をもった観測データの解析能力を拡大した.つまり,2次元画像データから3次元密度分布を高速で導出するスキームを独自に完成した.その結果,多数渦の相互作用の末到達する定常分布には,供給条件に依存してコア部の外縁にハロー分布が伴う特徴を同定できた.これは本プラズマが粒子浴を持たない孤立保存系であることを原因とするものである.更にこの密度分布と微小粒子のエネルギーサンプリングを組み合わせて,電子温度を決定する手法を創案し,電子がシンクロトロン放射により冷却される過程を実測した.3.回転波動に伴う粒子輸送については自己完結した理論モデルを提唱し,準線形理論の枠内で,その予測を実験的に検証することに成功した.4.渦糸群が作りあげる結晶構造の遷移過程については,構成渦糸の数が時間に関して対数依存を示しつつ減少する新しい比例則を発見し,提唱した.5.負イオンプラズマの制御実験については,ガス導入系の設計を完了して,H18早期に設備を組込む作業が進んでいる.
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