研究概要 |
本研究における主要な成果は以下3項目として纏めることができる。 (1)二次元渦・乱流の構造解析:不安定な初期状態に発する乱れた渦運動を乱流として捉え、空間分布の緩和過程を実空間と波数空間とを対応させて解析した。その結界、強い渦が合体する過程では弱い渦がスパイラル状に放散し、系全体の角運動量やエネルギーを自己保存すること。高波数側へはエンストロフィーのカスケードが進行し、低波数側へはエネルギーのカスケードが進行することが明瞭に示された。〔JPSJ(2006)、Phys.Rev.E(2007)〕 (2)波動による輸送過程の検証:強磁場下の純電子プラズマと波動との相互作用によって誘起される粒子輸送について、実験と理論の両面から定量的な解析を詳細に行った。グローバルな構造を持つ波動がLandau瀕を介して、速度空間の磁場方向輸送(加熱)と実空間径方向の輸送を、一定の比率で誘起することが準線形理論の枠内で予言される。〔Phys.Plasmas(2005)〕詳細な実験観測によって、この予測は定量的に確認された。即ち、波動はTriveloiece-Gouldモードの分散方程式を満足する固有関数であること、その振幅は2mV程度で電子温度の1%以下であること、密度分布の変化率は理論的輸送率と定量的に一致すること、電子温度分布の時間変化は理論的に予測された分配比と矛盾しないことが初めて証明された。〔Phys.Plasmas(2006), Proc InternationalWorkshoponNon-neutral Plasmas2005, Denmark〕 (3)熱平衡分布の構造解析:Penning平衡状態におかれた純電子プラズマの3次元熱平衡密度分布の時間変化を2次元の画像データから高速導出する手法を開発し、孤立熱平衡プラズマの緩和過程を詳細に追跡することに成功した。更に、この手法で得た自己無撞着の電位分布を有効に利用することによって、1%以下の微小量の電子を抽出するだけで電子温度を評価できる技法を創案した。これによれば、電子は周囲からの熱輻射を吸収しつつも、サイクロトロン放射によって、室温に向かって緩やかに冷却する。〔Phys.Plasmas(2005)〕
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