研究概要 |
昨年までに行った研究成果の一部を発表するとともに,17年度より開始した大型イオン源のプラズマ-壁面相互作用に関連した負イオン生成機構について,日本原子力研究所,および核融合科学研究所の大型イオン源を用いた実験を行った.この結果,水素負イオンがプラズマ-表面反応で生成されたと仮定すると,これまで考えられていた数mmでは無く,数cm程度の生存行程が必要となることが分かった.大型イオン源測定で得られた光脱離計測とVUV分光,および小型イオン源で得られた中性粒子速度分布関数の各データベースを整理し,水素負イオンの引き出し過程の全容を明らかにする模型の導出作業を継続した.小型イオン源を用いて,特に詳細なプラズマポテンシャル分布に着目し,水素負イオンの軌道がプラズマ内でどのように変化するかを調査した.最終的な結論の導出は,更なる検討の上で行われねばならないが,引き出し電界のしみ込みが,引き出し負イオン量を決定する重要な要因であること,もし負イオン表面生成が引き出し量を規定する最大要因であるなら,引き出し領域の静電磁界構造が引き出し量を大きく変化させるであろうことなどが分かってきた.この点についてはモデル実験を行いえるよう,装置改造中である. イオン源壁面のフィラメント材料の蒸着効果については,VUVスペクトルの経時効果に着目した測定を行った.日本原子力研究所でも開始したRF駆動の負イオン源開発に対応し,RFイオン源におけるプラズマ-壁面相互作用を調査する実験系を構築中である.既に電源を組み込み,アンテナ部分も製作して組み立てた.初期データとしてRF放電での水素負イオンの生成までを確認した.ただ,現在の装置では全てがメタルシールとなっておらず,この部分で遅れている.本年度は超高真空イオン源壁面からのレーザー誘導表面脱離実験の準備を終え,組立作業に入っている.
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