研究概要 |
平成18年度はこれまでのアルゴンに加えてより高Z原子からの磁気双極子禁制線を観測するために高Z不純物ペレット入射の準備を行った.通常の固体不純物ペレットの手法ではMoやWを入射した場合にはプラズマが放射崩壊を起こすので不純物ペレットの構造に特別な工夫を要する.また,真空紫外領域の分光計測系を更に充実させるため,3m直入射分光器を用いた空間分布計測の性能向上にも力を注いだ.具体的な研究実績は下記の通りである. 1.昨年度に引き続き,磁気双極子禁制線と共鳴線の強度比に関する密度依存性についての研究を行った.このために可視及びEUV分光器の絶対較正を行った,その結果,簡単なモデルを仮定した準位占有密度解析結果との比較が可能となった.実験で求めた強度比の密度依存性は解析結果とおおむね良い一致を示した.この結果から磁気双極子禁制線の発光機構を実験的に証明することができた.結果をJournal of Quantitative Spectroscopy and Radiative Transfer誌に投稿した. 2.3m直入射真空紫外分光器の光学調整,光軸調整,ミラー光学系の最適化及び分光器の結像調整等を行った.その結果壁からの反射光を除去することに成功し,空間分布計測の信頼性が向上した.また,スペクトル分解能も向上し,ほぼ全てのスペクトル線についてイオン温度算出することが可能となった.一部の結果をRev.Sci.Instrum.に公表した. 3.高Z不純物ペレットを改良するために2種類の方法を考案した.一つはカーボンペレットに高Z元素をコーティングした2層ペレットであり,他方はカーボンペレット軸中心に高Z元素細線を内蔵した同軸型ペレットである.Fe,Mo及びWについて試作したペレットをLHDに入射した結果,プラズマを放射崩壊させることなく高Z元素からのスペクトルを観測することに成功した.結果をJpn.J.Appl.Phys.誌に投稿した.
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