研究概要 |
平成20年度はLHDにおける高ZペレットやArパフ通常放電を利用して,多価に電離された高ZイオンからのEUVスペクトルを観測した.同時に昨年度に引き続き,可視域及びVUV域でも観測を継続した.特にMoやW等の高Z材料は将来の燃焼プラズマ(例えばITER)においてプラズマ対抗材料の一部としてその候補に挙げられており,各波長領域でそれら多価イオンのスペクトル構造を研究した.また,Ml遷移を利用した燃焼プラズマで重要な役割を担うα粒子計測の可能性を追求するために,実験データを下に計算を行った.その他,具体的な研究実績は下記の通りである. 1. Ar禁制線の2次元画像をCCDカメラと干渉フィルターの組み合わせで観測した.結果をHα光等の他の2次元像と比較した結果,Ar禁制線は明らかに磁気面構造を有していることが分かった. 2. 可視域磁気双極子禁制線を利用して多価イオンの不純物量の解析を試みた.正確な励起係数が把握できれば高精度でその定量化が可能であること示した.D-T燃焼プラズマではトリチウムや中性子の影響から真空紫外分光がやりにくくなることが予想され,可視域での不純物分光が可能になればその意義は非常に大きい. 3. 可視禁制線と真空紫外許容線の強度比を利用して,真空紫外分光器の絶対較正の精度向上を目指し実験を行った. 4. 可視域磁気双極子禁制線を用いたα粒子計測の可能性はα粒子密度に大きく依存することが判った.生成されるα粒子にモジュレーションを与えることができれば実現可能性は大きくなる.一方,NBI等の高エネルギー粒子の計測は偏光分光を利用することで実現可能性が高いことを示した.
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