研究概要 |
波形整形レーザーパルスにより,分子波動関数の時間発展および光化学反応の制御をおこなうとともに,光学位相制御した参照パルスとの量子干渉(量子ホログラフィ)により,波動関数の時間発展の可視化をすることが本研究の目的である. 超短パルスレーザー光と分子の相互作用により生成される電子励起波束の時間発展は,用いるレーザー波形に依存して変化する.その主たる理由は,励起波束を構成する波動関数の重ねあわせの重み係数の振幅と位相が変化するためである.しかし,通常の分光法では重み係数の振幅は決定できても,位相まで決定することは出来ない.量子ホログラフィでは,参照パルスにより励起された波束との干渉により,位相まで決定することが可能である. 本年度は従来使用していたパルス幅40fsのチタンサファイアレーザーを、本科研費により購入したNanolayer社の8fsレーザーに変更した。また光学位相シフト用にHoloeye社の液晶ユニットを導入した。フェムト秒技術は20fs前後にひとつの技術的な壁があり、購入した8fs光源の自己相関波形を従来のマイケルソン干渉計で測定すると約20fsであった。現在ビームスプリッター等の光学部品の波長分散特性等をチェック検討しているところである。
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