研究課題
基盤研究(B)
光誘起キラル分子内電子運動動力学機構の解明:当研究室において開発された量子最適制御法を最も簡単な現実の6員環芳香族キラル分子に適用することにより、一方向回転を制御するレーザーパルスを量子制御法によって理論設計した。さらに、最適制御結果を解析することによって、非定常電場のパルスレーザーではなく2波長定常レーザーを用い、電子波動関数の位相を制御する(コヒーレント制御)によっても電子回転を制御することが出来ることを新たに見出した。この研究成果はナノキラル分子系のπ電子環電流の制御研究の基本原理を与えるものである。この研究成果は、国際的に権威のある化学物理雑誌Journal of Chemical Physicsに発表された。尚、その論文は同雑誌のUltrafast PhenomenaのVirtual Journalに採用された。本研究の発展として、π電子環電流誘起磁場の大きさと方向を観測することでキラル識別の極短時間計測の基本原理を与えることが可能である。光誘起キラル分子機械の量子設計:光と相互作用する官能基に加えて、光と直接相互作用しないが内部回転機能を有するメチル基のような置換基をもつ分子を取上げ、光駆動2自由度回転の時間発展を記述する理論を構築した。一つの官能基がメチル基を回転させることが出来ることを量子理論と古典理論の両方を用いて行った。この最小分子機械は量子機械でありマクロな機械との相違、類似性を明らかにするために、官能基からメチル基へ回転角運動がどのようにして伝達されるのかを2つの回転子の回転角運動量相関を評価することにより解明した。
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