平成18年度は、以下の研究を行った。 (1)9H-アデニンの水溶液中での励起状態の極めて速い無輻射失活の機構を明らかにするため、水およびアセトニトリル中での基底状態および4個の励起状態の間の円錐交差の構造とエネルギーをRISM-SCFに基づく線形応答自由エネルギー法を用いて求めた。 (2)プロトン移動と結合した電子移動反応の速度を求める理論的方法を開発し、アセトニトリル中でのユビキノールとフェノキシラジカルの反応に適用した。 (3)QM/MM法に対する線形応答自由エネルギー法を開発し、水溶液中での化学反応および酵素反応(chorismate mutase)に適用した。酵素反応については、水溶液中での反応と比較することにより、タンパク質酵素の役割について論じた。 (4)3D-RISM-SCF法に対して効果的な計算方法を提案し、水溶液中での励起エネルギーの溶媒シフトを求めた。この新しい方法の有用性を示した。 (5)RISM-SCF/MP2自由エネルギーに対する解析的エネルギー勾配法を開発し、エーテル中でのGrignard反応に適用した。
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