研究課題
基盤研究(B)
本研究では、時間分解紫外共鳴ラマン分光法を用いて、ピコ秒からミリ秒にわたるセンサータンパク質の構造変化を明らかにし、それらの機能発現機構について論じた。主な研究成果は以下のとおりである。1.時間分解紫外共鳴ラマン分光システムの製作 ピコ秒〜ミリ秒をカバーする時間分解紫外共鳴ラマン分光システムの製作を行った。204-244nmの範囲で、連続的に波長可変なピコ秒紫外パルス光源、およびピコ秒可視ポンプ光発生のための波長変換システムを製作した。また、時間分解共鳴ラマン測定システムの自動的を図った。2.イエロープロテイン(PYP)の構造ダイナミクス 発色団の光励起にともなうイエロープロテイン(PYP)のピコ秒構造ダイナミクスをとらえることに成功した。光励起状態では発色団とその近傍にあるTyr42との水素結合が強くなっていること、光応答による構造変化の高速伝播がPYP中で起きていることが初めて示された。3.FixLの構造ダイナミクス FixLは根粒菌由来の酸素(O_2)センサーヘムタンパク質で、いくつかの光センサータンパク質がもつPASドメイン構造を共通してもっている。本研究では、全長タンパクおよびセンサードメインについて、リガンド脱離に伴う構造ダイナミクスを調べた。得られた結果は、リガンド脱離に伴いプロピオン酸基の構造変化が起こること、ヘムの平面性が段階的に変化することを示唆した。リガンドとしてO_2を用いた場合、COの場合には見られなかった、サブマイクロ秒領域の相が新たに観測された。この変化はFixLによるガス分子の認識機構と関係していると考えられる。
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http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/mizutani/index-jp.html