研究課題
高共役π電子系化合物は、電界効果トランジスタ(FET)やセンサーなどの高機能性材料として大変興味が持たれているにもかかわらず、合成困難なため電子状態や光特性などの基本的な物性も知られていない化合物が多くある。申請者は、ペリ環状反応を最終反応として用いることで、これら高共役π電子系化合物の高純度合成法の開発することを目指した。高いモビリティーを有することから注目されているペンタセンを、ペンタセンの6、13-位に光や熱で分解可能な架橋部を導入することで、ペンタセンの可溶前駆体を開発した。これにより、ペンタセン前駆体の塗布法によるFETデバイス作成に道を開くことができ、0.34Vcm^<-2>s^<-1>の移動産を達成した。不安定で合成反応に用いることのできなかったイソインドールの合成等価体として、ビシクロ[2.2.2]環の縮環したピロールを見出した。これを出発原料として用いた合成反応を展開し、新しいπ電子系を有するポルフィリノイドの合成やπ電子系の融合したポルフィリンオリゴマーの合成に成功した。この合成過程に於いては逐次型ペリ環状分解反応が進行し、分子の構造によってその分解反応の起こりやすさが異なることを解明した。5員環部に置換基を持たないイソインドールの中で安定な4、5、6、7-テトラフルオロイソインドールの簡便な合成法を開発した。この4、5、6、7-テトラフルオロイソインドールが安定な理由をX線構造解析により明らかにするとともに、これを用いて種々の高共役π電子系化合物の合成を行った。
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