研究概要 |
1.二核二鉄(II)錯体[{Fe(NCE)(X-py)}_2(μ-bpypz)_2](E=S or BH_3)は種々のピリジン置換体X-pie(X=3-Br,3-Cl,4-Me,4-Me_2N,3-Me,4-ph,H)で、NCS錯体とNCBH_3錯体のT_cおよびハメット定数の間に非常に良い相関関係が見られ、置換基XによるT_cの違い、すなわちpie-Xの配位子効果は配位子場ではなく、電子間反発パラメーターによるものであることがわかった。また、regular solution modelに基づき求めたΔHとΔSおよびcooperativity factor (C)が、それぞれ、NCS錯体とNCBH_3錯体で特徴的な傾向があり、 NCE配位子がスピンクロスオーバーのΔH,ΔSとCの傾向を支配して、分子間相互作用の違いをもたらすことを明らかにした。また、研究協力者のフランス・ボルドー大学のJ-F.Letard博士による一連の錯体の精密なLIESST測定によって、T_c(SCO)とT_c(LIESST)には極めて良い相関関係があることを見いだした。 2.二段階スピンクロスオーバーが観測される4-phpy(NCBH_3)錯体の光誘起スピンクロスオーバーにおける緩和過程を、フランス・ベルサイユ大学のK.Boukheddaden博士によって測定され、Incubationを伴うものであることがわかり、これが中間点[HS-HS]・・・[LS-LS]での共同効果と関連性していることが示唆された。 3.一次元鎖4,4'-bpy錯体高分子の合成とX線解析に成功して、スピンクロスオーバーに及ぼす集積化による共同効果に関して、新しい知見を得ることができた。
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