研究分担者 |
塩川 佳伸 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50111307)
本間 佳哉 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (00260448)
山本 悦嗣 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (50343934)
中田 正美 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎基盤研究部門, 研究副主幹 (60370441)
酒井 宏典 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究職 (80370401)
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研究概要 |
Li挿入により最高臨界温度26Kの超伝導の実現される遷移金属MNK(M=Ti,Zr,Hf)(X=Cl,Br,I)研究のアクチノイド(An)系への展開を目指し、これと類似の特異な層状構造を有するTh,U,Np等のAn系窒化ハロゲン化物AnNX(An=Th,U,Np)及びその関連低次元アクチノイド(5f電子)化合物(カルコゲナイド、プニクタイト、錯体等)の物質創製とこれらの発現する新規な電子状態、電子物性の探索研究に取り組んだ。 窒化ハロゲン化物研究の大きな実験的課題は、これらの系(特にそのLi挿入系)が空気中で不安定なことである。昨年度より、Th,U,Np系、そのいずれも酸素、水分フリーの高純度の不活性ガス(アルゴン)雰囲気下で試料調製→Li挿入→物性評価の一連の実験を遂行し得るArガス循環生成装置を備えたグローブボックスの構築に取り組み、これを完成させた。目下、Th,U系の高純度試料調製とそのX線構造データの取得に努めており、これが確立次第、Li挿入実験及び次のNp系へと進む予定である。 実際取り扱い始めてみてこれらAnNX系が予想以上に空気中で不安定であり、その調製やX線データの取得などを空気に晒すことなく行なうことに特別な工夫を要し、思った以上に手間暇のかかることが分かった。そこで、空気中でも安定な上記の類似層状化合物(カルコゲナイド、プニクタイト、錯体)等も、並行して研究を進めた。また、類似の層状構造を持つNp系の金属間化合物NpPd_5Al_2単結晶を育成し、これがNp系で世界初の重い電子系超伝導体であることを発見した。更に、Np系研究の有力な武器となる^<237>Npメスバウアー分光測定の開発・整備も同時に進めた。今後、AnNXの系統的な物質合成→Li挿入による金属化→新規な磁性や超伝導の探索、そしてその構造一物性の相関の解明に注力したい。
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